ピザとスパゲッティはファッションになりうるのか。

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綿貫大介コラム
ピッツァではなくピザが、パスタではなくスパゲッティがおしゃれ

『POPEYE』(以後ポパイ)の2015年9月号の特集、見た人も多いと思う。表紙と背表紙に入れられた特集名は「ピザか、スパゲッティか?」。ポパイといえば言わずと知れた男性ファッション誌。



ではそこで問題です。はたして、ピザとスパゲッティはファッションなのだろうか。今回はそこについて考えたいと思う。

実はポパイは過去にもカレー、サンドウィッチなどフード系の特集をしている。まずファッション誌で食べ物を第一特集にする意味について。ファッション誌においてのそれは、きっかけ作りになる。まずはその食べ物がなんか今キテるよね、いいよね、という流行の発信。そしてそういうことに食いつきそうな人たちはこういう服装を楽しんでいるよね、ということの提案。

この2つの役割をしっかりファッション誌という形でポパイは成し得ている。なので、これ、ファッション誌でやることか?なんて思うことは全くなく、これが今っぽい“切り口”であり、“見せ方”であることは間違いない!

では、今回のピザとスパゲッティはどうなのか。誌面のメインで紹介しているのは、NYスタイルのピザと、ナポリタンブームを再熱させたと言えるロメスパ(路麺のスパゲッティ)。スパゲッティといえば昔はナポリタン、ミートソース、ボンゴレなどが目玉だった。でも今ではカルボナーラ、ペスカトーレ、ボロネーゼ(ミートソースとの違いがわからんけど!)・・・とさまざまなものが出現。麺もカペリーニ、リングイーネ、ペンネなど多種多様で、昔なじみの「スパゲッティ」はいつのまにか「パスタ」へと進化している。ピザも同様、ミュータント・タートルズたちが食べていたアメリカンな「ピザ」なんて忘れさられ、今はナポリ風で、追いオリーブオイルをたっぷりかけて食べるような、いわゆる「ピッツァ」が支流だ。

でもそこへきて今回は、「パスタ」でなく「スパゲッティ」、「ピッツァ」ではなく「ピザ」が今熱いですよ!という、時代はめぐる系最先端グルメを流行として教えてくれている。そう、それが今の最先端(の提案!)。

なぜって、おしゃれに敏感な人たちが今そういうものを求めている現状があるから。実際NYスタイルピザの代表格・代官山の「ピザ スライス」はインスタグタムでバンバン写真が上がるし、生まれたときからアルデンテ世代の10代だってあえてブヨブヨ極太大盛りのロメスパをがっつり食べて喜んでいる。

流行を追いかける精神=ファッションでいいんじゃないかな

ファッション誌で流行フードを扱うのはよしとして、でははたしてそれらは「ファッション」なのか。そもそもファッションってどういう意味で使っているんだろう。実は先日マンガ家の久保ミツロウ先生が《文化的な人はなんでも塩で食うって話聞いて「ファッション塩かよ!」》というつっこみツイートをしていて、なるほどと膝をたたいた。

ファッションは「服装」の意味で使われることが多いけど、本来は「流行」の意味合いもかなり含まれている言葉だ。また、日本では先のツイートのように単純に「おしゃれ」ということのニュアンスとして「ファッション」という言葉が使われることも多い。

だとすると、ピザもスパゲッティも、“おしゃれ”な人たちが注目する“おしゃれ”な食べ物であり、それらはニュアンスとしては“ファッション”ということになる。本義ではないとしても。そう考えるとやっぱり流行を追いかける精神こそ、“ファッション”なんだろうなぁ。服装もスポットも食べ物も、最先端を追うことを“ミーハー”として嫌う人もいるけど、その精神がファッションだよ。

あー、お腹すいてきた。とりあえず今日はピザを食べたい。



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綿貫 大介

綿貫 大介

エディター、ライター。メンズファッション誌編集者を経て、現在も編集、ライティング、ディレクションに携わる。発売中のkvina著『恋する東京 東京デートガイドブック』(京阪神エルマガジン社)巻末付録にも出てます。 いろんなアカウント:watanukinow

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