白い靴を臆せず履けるようになったのはいつからだろう。アスファルトの上を走る。

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綿貫大介コラム



どの季節と比べても夏の白が1番好き

歳時記には「白靴」という季語が載っている。白い靴なんて別にいつ履いてもよさそうだけど、実はこれは夏の季語。夏の装いには暑さを避けたい気持ちから、全般的に白いものが多くなる傾向がある。それに合わすように、靴も白を基調としたものが増える。見た目も涼しく、清涼感があり、軽快さもある色のイメージから夏の季語として定着している。それと同じく、「白服」「白シャツ」も夏の季語。そう、夏は白がピッタリな季節だ。

小学生の頃は白いスニーカーをなかなか靴箱から出せなかった。なんで白なんて選んで買ってしまったのだろうと後悔したことだってあったように思う。白は田舎では活躍の場がほとんどなかったのだ。白を履いてしまうと、草むらを歩くにも川辺を歩くにも、とにかく細心の注意が必要で、遊びが全然楽しくなった。汚れということへの恐れがすごくあったのだと思う。白いもの=汚れるもの。ほかの色でももちろん汚れるし、単に白は汚れが目立つというだけのことなのだけど、子供心にそこまでの考えはなかった。ただただ白という色は危ない色だったのだ。

だけど汚れを叱る大人が近くにいなくなったからだろうか、都会では汚れるシーンが少ないからだろうか。今は臆せずにガンガン白いスニーカー履いている。ちゃちゃっと汚れを落として、翌日も同じ白いスニーカーを履いて、家を出る。

パックの白Tシャツをまとめ買いもいいね

白で言うと、最近はスニーカーだけでなく、無地の白Tシャツを着ている人も多い。その人たちのTシャツをよく見てみると、同じように見えてもそれぞれちゃんと違いがあるから不思議だ。ただの白いTシャツと侮ることなかれ、たくさんの種類がある。

それはディテールや厚み、サイズ、ポケットの有無などにあらわれる。白Tシャツと一口に言っても、選択肢も好みもたくさんあるのだ。きっとそれはまるで公園の砂場の中にこぼしてしまった星の砂を探すような作業かもしれないけど、そこにこだわりを持って、自分の好きな白Tシャツを探せたら楽しいだろうなあと思う。

また、無地に飽き飽きしたのか(ちょっと先を行って)、あえてちょっと笑えるようなワンポイントのイラストが描かれた白Tシャツを着ている人もよく見る。これもおもしろいなぁと思う。全身をシンプルやアイテムや色で固める時代だからこそ、色で統一感は出したいと思いつつも、ちょっと遊びが欲しくなるんだろうな。アーティストの平山昌尚(Himaa)さんや加賀美健さんがブランドとコラボをしてTシャツを発売しているのも、そういう時代を象徴しているように思う。2人のイラストが持つちょっとした抜け感は、もはやアートを飛び越えてファッションになりつつある。

今は定番色として、白はクリーンなコーデに欠かせない。Tシャツもパンツもスニーカーも、どれを見ても白なんて人だっている。それを思うと、白は定番色というより、もはや流行色扱いだ。流行であるということはその色を使う理由になるけど、単純に季節だけで切り取っても、夏に白を使うのはいいなぁと思う。

日本晴れの青一面の空よりも、入道雲があった方がなんだか素敵な空に見えるように、夏における白の力はものすごい。



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綿貫 大介

綿貫 大介

エディター、ライター。メンズファッション誌編集者を経て、現在も編集、ライティング、ディレクションに携わる。発売中のkvina著『恋する東京 東京デートガイドブック』(京阪神エルマガジン社)巻末付録にも出てます。 いろんなアカウント:watanukinow

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