制服はニューバランス、ニットキャップ、丸メガネ、デイパック。ガジェットも装備してね。

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もう「ライフスタイル」から逃げられない!

アパレルや雑貨、書籍、インテリアなど多様な商品を扱い、さらにそこにカフェやコーヒースタンドなどが複合する店は、「ライフスタイルショップ」と呼ばれている。いま、「ライフスタイル」という言葉から、逃げることができなくなってきた風潮があるように思う。今までそれぞれ単独で価値があったものが、「ライフスタイル」という一言で集約されて、ひとつの価値にまとめられてしまっているから。

アパレルショップも今は雑貨を置いているお店が多いよね。それも、入口にそれらを配置しているお店が特に多い。そうした方がお客さんが気軽にお店に入って来てくれるんだって。うまいこと考えるなぁ。生活や営みってことで言っちゃえば世の中のなんでも「ライフスタイル」なんだけど。

今や「ライフスタイル」至上主義の時代です。みんな「上質な暮らし」をしなくてはいけません。ではどうすればいいか。丁寧にハンドドリップされたコーヒーを飲みに行って(ブルーボトルに並ぶのも苦じゃない!)、グリーンを買って(つるが立派なやつもいいし、多肉植物にも興味あり!)、お気に入りのインテリアで部屋をかざって(シンプルでちょっと工業的なデザインのモノとかもいーね!)、インスタに即アップして暮らしぶりをアピールすればいいのです。それだけできれば問題ありません。

辛酸なめ子さんがそんな波にうまく乗れている人たちのことを流行りのコーヒーブームになぞらえて「サードウェーブ系男子」と名づけていて、それはかなり言い得て妙で、ヒザを打つ表現だと思う(※サードウェーブとは、アメリカのコーヒー文化「第3次」コーヒームーブメントのことで、スターバックスコーヒーに代表される「シアトル系」に続く新しいコーヒーカルチャーのこと)。

サードウェーブの波に乗るか溺れるか

そんな人たちは具体的に容姿や格好が似てきていて具体的に言い表すと、

  1. スニーカーはニューバランス
  2. ニットキャップを被っている
  3. 丸メガネをかけてる
  4. 髭を生やしている
  5. かばんはリュック

など。いるねいるね。東京のあちらこちらに。
上質な暮らし
けど、そういう人たちに対して“(笑)”を語尾に付けて揶揄している人も結構いる。気持ちは分からなくもないけど、個人的にはアリだと思う。サードウェーブ系男子、いいじゃん。男子という言葉が適当かわからないけど、バカにされるものでもないと思う。この服装、シティボーイの名のもとに、正直もうここ何年も流行り続けていたけど、ここにきてライフスタイルに紐づいた名前と意味を与えられて、ついに成熟したといった感じ。

「上質な暮らし」が消費社会に対するカウンターカルチャーではなく、ただの流行だとしても、それでネタ化されているとしても。「上質な暮らし」を標榜しているなんて、とてもいいことだと思う。だってなんか健康的だし、健全だし、爽やかだし。ブームとしていずれ終わってしまうと思うと、次はとんでもなく不健康で不純で汚いブームが来てしまうかもしれないけど。そうだとしても、それはそれでおもしろいってスタンスでいられたらいいんじゃないかな。流行って、そういうものだから。

ただ、今みんなが憧れる「上質な暮らし」と、上記に挙げた特徴の服装がリンクしているっていうところはおもしろいなぁと思って。あぁ、そうか。これはひとつの制服なのかもしれない。そんな感じがする。

街中でニッカポッカを履いている人がいたら、「とび職の人かな?」と思うし、オラオラ系の服装をしている人がいたら、「EXILEかな?」と思うように。ニューバランス、ニットキャップ、丸メガネをしていたら、「あ、あの人は上質な暮らしをしているのかな?」と想像できる、言わば他人にイメージを与える、わかりやすい制服なんじゃないかって。みんなその制服を着ることで、自分の価値をうまくアピールしている。頭いい! だって上質な暮らしをしていそうな人に悪い人がいるとは思えないし。僕はいい人だよ、と間接的にアピールできているのんだから。

もちろん、本当の“理想の暮らし”はお金で買えるものなんかじゃないんだけど、それでも見た目だけは装えちゃう。大人の制服、すごいなぁ。



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綿貫 大介

綿貫 大介

エディター、ライター。メンズファッション誌編集者を経て、現在も編集、ライティング、ディレクションに携わる。発売中のkvina著『恋する東京 東京デートガイドブック』(京阪神エルマガジン社)巻末付録にも出てます。 いろんなアカウント:watanukinow