今っぽさは懐かしい?新世代の価値観、ファッション観

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綿貫大介コラム

新人類?注目のニューエイジャー

最近の若いやつは……という意見はいつの時代もある。あれって、なんなんだろう。実は論語にこんな言葉がある。「後世可畏」って。意味は、「イマドキのやつらは、なんて言ってはいけない。だって、若い人たちの可能性は計り知れない、私たちの先をゆく能力を持っているんだから」というもの。

孔子様は大昔にちゃんとそうおっしゃって下さっている。みんな年下の子たちに関して自分たちの道理が通らないときに、自分たちの時代はこうだった……、とか精神論を言いたがりすぎている気がする。自分たちも年長者からきっとそう言われてきたんだろうけど、いつの時代もそれの繰り返し。若者批判の無限ループが世の中にはびこりすぎているなぁと思う。

そんな世の中だけど、実はゆとり世代とかさとり世代とかにカテゴライズされてしまうような、「最近の若い世代」の感性はかなりすごい! そう思うことが最近とても増えてきた。

例えばカメラマンの奥山由之さん。GINZAなどのファッション誌でもよくスタッフクレジットを見ていたけど、今年に渋谷PARCOで個展をしたり、第41回木村伊兵衛賞(写真界の芥川賞と言われたりしている)の候補者に挙がるなど、今注目の25歳。そんな彼がよく使うカメラが、ちょっと懐かしい「写ルンです」。使い捨てカメラの雰囲気が今の時代には新鮮だ。

アーティストで注目なのが、「シャムキャッツ」や「ミツメ」。ともにシティ・ポップのムードが心地いい。あー、これカセットで聞きたいなぁ、と思う。2組はミュージックビデオを見たらより魅力が伝わると思う。飾らない姿をそのままさらけ出している感じがする。いい意味でまったくカッコつけていなくて、その空気感が今っぽい。

イマドキの価値観は懐かしくて新鮮

彼らを見て思うのが、若い世代が80年代っぽいことをうまく拡張させているなぁ、ということ。使い捨てカメラやシティ・ポップの、80年代っぽさを、現代風にうまく昇華している感じ。きっと本人たちは過去のブームもそこまで知らない。だから先入観もないし、新鮮にできるんだろうなぁ。これはとてもうらやましい。わかった上で何かをするのはつまらないんだよなぁ。わからない世代が、好きにやっている感じがいい。

僕の場合で言うと、例えば90年代ってやっぱり音楽もテレビもすごくおもしろかったから、それを知らない下の世代ってかわいそうだなぁと思ってた。けどバブル世代を生きた人は、あの時代を知らないなんてかわいそうって僕に言うかもしれない。いつの時代もそう。けど、その「知らない世代」が常に新しいものを作っていくんだよね。知らないなりに勉強したり、新しく進化した発想で。

話は変わって、そんなカッコいいなぁと思うニューエイジャーのファッションについて。これがまたまったくカッコつけてない。パーカ、キャップ、Tシャツ、スニーカーといった定番アイテムを当たり前の雰囲気でさらっと着こなしている。

彼らがしているそれは「サードウェーブ男子」や「ノームコア」という言葉でくくられるような、シンプルが1番おしゃれ!という作られたムーブメントとは全然違う。おしゃれなんて興味ないし、とでも言いたいのかというほどラフな仕上がりだ。抜け感を狙ってやっているというわけでもなく、あえて全力でちょっとダサい雰囲気を作ってない?と思うぐらい。ファッション誌で教えてくれるおしゃれな着こなしをすべて無視している。雰囲気でいうと80年代のファッションに近いのかも。

つまりは、いろんなことに対して時代錯誤感を出すっていうのが、今のトレンドなのかも。あえてこれしてます、というようなね。

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綿貫 大介

綿貫 大介

エディター、ライター。メンズファッション誌編集者を経て、現在も編集、ライティング、ディレクションに携わる。発売中のkvina著『恋する東京 東京デートガイドブック』(京阪神エルマガジン社)巻末付録にも出てます。 いろんなアカウント:watanukinow

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